転職は幸せになるためのもの

最初のテーマは、何のために転職をするのか、という事についてです。こんな基本的な事、と思われるかもしれませんが、実は、この点について、あまりよく考えないまま転職を検討している方が非常に多い、というのが実情であるように感じています。転職のご相談をいただく方の「理由」は様々です。給与が希望にかなっていない、ということだったり、人間関係が良好ではなかったり、ということだったり。その方にとっては、その時点で非常に重要な事なのかと思います。なので、私は、必ず「あなたにとって、今、幸せだと感じるために一番重要なポイントがそこなんですね?」とお聞きするようにしています。大概の方が、その時点で考え込んでしまわれます。それは、自分が何のために転職をしようとしているか、が実ははっきりしていないから、という事なのだと思います。


社会人である以上、月曜から金曜まで、つまり1週間のうち5日もの時間を「仕事」に費やしています。それは、人生の7分の5を費やしている、という事になります。要するに人生のほとんどの時間を費やすことになるのが「仕事」というもの、という事ですね。人によっては、週末の2日間が自分にとって最も重要で、仕事はそのための糧を得るためのもの、と割り切っている方もいらっしゃいます。それはそれで一つの価値観ですが、やはり、いかに週末が充実していても、人生の7分の5を費やしている時間が無味乾燥なものであれば、本当に幸せです、とは言い難いのではないか、と私は思っています。


だから、私は、転職とは「その時点で自信が幸せだと思える仕事の環境を得る事」だと考えています。その人にとって、なにが「幸せ」なのかは、その方の考え方や価値観、その方が今いるステージによって様々でしょう。5年、10年先の目標を達成するためには、今とは異なる会社で、その会社でしか得ることのできない経験をすること、という人もいるでしょうし、自身が一番情熱を持っていることに集中できる事、という人もいるでしょう。自分が尊敬する人と仕事をすること、が今一番大事な人もいるでしょうし、やはり、自分にとってはプライベートな時間が最も重要なので、その時間を大事にすることができる環境が一番重要、と迷いなく言える方もいるかもしれません。


だから、「転職を考える」とは、その時点で、自分自身が「幸せ」だと感じるために、最も大事な事は何か、を考えることであると私は思っています。転職を考える過程で、今、自分がどういったステージにいて、将来どうなりたいのか、自分自身が大事に考えているものはいったい何なのか、を真剣に見直すということ。新しい環境や給与ももちろんではありますが、それこそが、転職という事の一番重要な「得られる」ものであるように思います。